美術館に行って絵を見たとき、美しいとか、いいなとか思うかもしれませんが、絵を勉強していない僕ではどこがいいとか、アマチュアとの違いを説明する事はできません。
オーケストラでも一流の音楽団とアマチュアを聴き比べるのは難しいかもしれません。
テレビではこれらをブラインドで当てる「格付け」のような番組がありますが、人間は食事が美味しいと思うのも、美術、音楽での感動、面白いという感情でさえも「予測」によって大きく影響を受けることがわかっています。
この予測の力は所々言葉が聞こえなくても意味が通じ、文章の間違いがあっても理解や元の文を理解し、非常に便利なものです。
マーケティングとは情報提供することで予測される喜びを高め、本当の喜びを高めようとしますが、実際にどれだけ影響があるのかというお話をしたいと思います。
コカ・コーラ対ペプシコーラ
僕たちは予測によって、感じ方が変わってしまいます。
以前、ペプシは「ペプシチャレンジ」という広告を打ち出しました。
これは無作為に選んだ人に、コカ・コーラとペプシコーラを飲み比べてもらいどちらが好きかというのを選んでもらいました。
ペプシ社はペプシの方が人気だったと宣伝しましたが、同時期コカ・コーラもペプシより、コカ・コーラの方が好まれると宣伝しました。
どちらかが、嘘をついたとかではなく、方法の違いでした。
コカ・コーラは飲み比べの時にどちらのコーラかをわかる状態でした
ペプシ社はプラスチックコップで飲み比べをしてもらいました。
ということはペプシの方が味では優っていたということでしょうか?
追加の実験で機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を使い飲んでいるときの脳の活動も観察しました。(計測した時に飲むのは難しく、長いチューブを加えてやったそうです笑)
結果は飲み物の名前がわかっているかどうかで違いました。
わからない場合は、脳の内側の腹内側前頭前野が刺激されました。
しかしコカ・コーラだとわかると背外側前頭前野も活発になりました。
これは作動記憶や連想、認知、観念など人の高次脳機能に関わる領域です。
ペプシコーラの時にも反応はしましたが、コカ・コーラの方が反応が強く出ました。
比べてみると基本的な脳の反応はどちらも変わりませんでしたが、コカ・コーラの方が反応が強かったのはまさにマーケティングが作り出したものでした。
つまりコカ・コーラの「ブランド」が高次の脳機能を活発にしたということです。
コーラの科学特性による違いでなく、ブランドからの連想がコカ・コーラを市場で優位にさせているということです。
確かにブランドや有名メーカーのものは機能性は変わらなくても、満足度や安心感は違いますよね。
脳の前方部分と快楽中枢とのつながりも影響をしており、快楽中枢から前頭前野にドーパミンの経路があります。
コカ・コーラの方が連想が強ういので快楽中枢の活動を促進させたということです。
マーケティングとしては、長年積み上げたメッセージが味にも貢献していくということです。
まとめ 見せ方を考える。イメージが影響する
人は与える情報によって影響を受けるので、映画に行くときに評判のいい映画だといえば相手を一層楽しめさせることができます。
コカ・コーラが美味しいと思うのはブランド力も手伝っているわけですが、それも実力のうちかもしれないですし、積み上げてきたものにも価値があると考えられます。
自分が誘う時ややる時もつまらないかもしれませんが、というよりは、評価されていることや、人気などポジティブな予測をさせる言葉や見せ方をしても良いかもしれませんね。
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