こんにちは!なべっちです!
身体化された認知の研究は追試で覆ったり、再現性がある!とまでは確実にいえないまでも、研究自体はあり得るなとおも得るものが多く、また日常的にも生かしやすいので面白いです。
身体化された認知とは物理的感覚が人の感情や判断、行動に影響を与えるということです。
普段使う比喩表現など感覚的なものが、具体的なものを繋ぐことの証明がされていたりします。
例えば温かいは、優しさとも同じようなイメージを持つと思いますが、温かいカップを持つと他人を親切に見えたりする研究があります。
日常で使うとすると、デートや商談や、穏便に話を終わらせたい時、初対面の人には温かいものを出してあげたほうが印象が良くなると言えます。
実際に研究ではアイスコーヒーとの比較でしたが印象は異なりました。
決定的な影響まではないとしても少し意識すると面白いと思います。
バイアスの話もそうですが、人は臓器提供の意思決定まで、自分の性格や意志とは関係なく事前設定で変わってしまうほど影響を受けやすいものです。
今回はそんな身体化された認知のうち色について一つ書きたいと思います。
【結論】赤色を見ると、頭を使う課題のパフォーマンスは悪化する
様々な色の中で、赤は特別な意味合いを持っています。
血液も赤いですし、信号も赤信号ですし、パトカーや救急車なども赤いサイレンです。
他の色は国や文化によって様々なイメージを持っていますが、赤についてはほとんどの国で共通のイメージや意味合いを持っています。
そんな赤色の効果をざっとあげると
・頭を使う課題のパフォーマンスを下げる
・失敗への恐怖を呼び起こし回避行動をとらせる
・単純な身体的課題のパフォーマンスは高まる
・スポーツやゲームでは赤を着たチームは自信が高まる
・審判からも有利な反応を引き出せる
・男性は「赤」を身につけた女性をセクシーだと感じる(平均レベルのルックスの人ほど効果がある)
・赤に引き付けられた男性は実際の行動にも影響を受ける
などの効果が研究によって明らかにされています。
見出しの成績の研究でいえば、以前お伝えした「ステレオタイプ驚異」でも実力と関係なく成績が下がりますが、赤い色でも影響がありました。
アンドリュー・J・エリオット氏を中心にしたアメリカとドイツの研究では赤いいろと学力テストの関係を明らかにするために、いくつかの実験を行いました。
実験1 数字の色を赤にするだけで成績が悪くなる
71人のアメリカ人の学生を集め一人ずつ個別にテストを受けていただきました。
被験者には、アナグラムのテストをするので、意味のある英単語を作って欲しいと説明をしました。難易度は難しくも簡単でもないように調整し学力や能力で差が出ないように調整しています。
・数字が赤のグループ
・数字が緑のグループ
・数字が黒のグループ
それぞれ解答用紙の右側に、数字が降ってあり、それ以外は何も変わらない3つのグループに分けました。
数字の色をしっかり見るように、受験者番号をチェックして欲しいと、最初にチェックをしてもらいました。
この単純なテストで大きな差が生まれました。
赤色のグループだけ、際立って悪かったのです。
実験2 テストの変更と赤色に触れる時間の検証
前回のテストの実証をするために、実験内容を変更して検証を進めました。
・解答用紙の表紙の色をグループごとに変えた
・テストの問題を類推(謎解きのようなもの)に変えた
今回は46人のグループに上記のように表紙の色だけ変えたものを3グループに分けといてもらいました。
これらは表紙の色だけなので約5秒程度しか触れないにもかかわらず実験1と同じような結果になりました。
その他の追試も赤のグループだけ成績が悪く他のグループの差はみられませんでした。
環境の差はあるのか?
他の要素が影響を与えることはあるのかの検証として、大勢で受けたり、個別で受けたりしても、言語でも数学でも、研究室でも教室でも赤色以外の影響はほぼありませんでした。
モチベーションへの影響
先ほどのエリオット氏の研究では、赤色が失敗を恐れさせ、行動を避けるようになることがわかりました。
なぜ色の違いがここまで影響を当たるのでしょうか?
様々な要因があるといえますが、赤い色は危険を連想させ、不安と緊張の感情を引き出す場合があります。
試験の答案の採点は赤ペンが多いと思います。そのような経験から不安を掻き立てれれるのではないかと言われていますし、信号も赤では止まるようにインプットされています。
また人間の進化のプロセスにおいても赤い色に反応することが、環境に適応し生き延びるのに役立っていたと考えられています。
赤ペンを禁止した学校も多い
オーストラリアのクイーンズランド州では30の学校に対し、採点に赤ペンを使わないように指示しました。
赤は攻撃的な色であり、子供の精神にダメージを与えるからとのことでした。
他にもアメリカやイギリスでも禁止にしているところもあるそうです。
アクションプラン
今回の「赤色」の研究ですと
・テストや教材、人への指示に赤色を使うのをやめる
・スポーツやゲームモテたい場合は赤い色を身に着ける
・コミュニケーションや関係において「支配」や「力強さ」をみせたい時は赤を身につける
などが考えられます。
他にも面白い研究やすぐ使えるものもあるのでまたご紹介します!
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