「普通じゃない。そう、誰だって、普通じゃないわ。普通っていうのは、つまり平均でしょう?平均したものは、シーソーの中心にくる。だけど、そこには誰も乗っていない
瀬在丸紅子/赤緑黒白
こんにちは!なべっちです。
平均より小さい、平均よりできていない、平均より遅いなど、ありもしない平均と比べて落ち込むこともあるのではないでしょうか?
平均とは人類の発明だと思うのですが、人間の可能性を過小評価する要因というだけでなく平均は役に立たない「平均的な人間に基づいて設計されたシステムは最終的に失敗する」という科学についてお伝えしたいと思います。
個人を対象とするデザインでは平均は全く役に立たない
どれだけ平均をとっても意味もなく事故が増えた事例
1940年代 アメリカ空軍は戦闘機の事故に頭を悩ませていました。
パイロットのスキル以外が原因だとは考えていましたが、明確な理由がわかりませんでした。様々な調査をした結果コクピットの設計が原因だと思いました。何故なら1926年に男性パイロットの体の寸法の平均をとって作られていたので、それから30年が経ち、体型が変わったのでは?と考え4000人以上のパイロットの様々な部位を細かく測定し平均値を出しました。
これで事故が減ると考えましたが、結果減りませんでした。
ほぼ全ての人が事故が減ると信じた中、ダニエルズ中尉だけが平均的なパイロットはどれだけ存在するのか?ということ質問を抱いていました。
何故なら彼はハーバード大学で形質人類学について学んでおり、卒論では「手の形の比較」というテーマを選び、手はそれぞれ似ていなく、全てのデータを平均したものの、どの手も平均的な手の範囲内におさまらなかったことから平均的な手のサイズなど存在しなかったからです。
誤差30%の平均に収まったパイロットはゼロ
ダニエルズ中尉は算出した平均的なパイロットのサイズと誤差30%いないならば概ね平均と見なし、「平均的なパイロット」と実際のパイロットの比較をしましたが、10項目全てが平均の範囲内に収まったのは誰もいませんでした。
平均を取るデザインは誰にも相応しくないデザイン
10項目を3項目に絞っても3.5%しか平均に収まるパイロットはいませんでした。
多くのパイロットに合うようにデザインされたコクピットは結果誰にも合わないコクピットが出来上がったということでした。
どの男性も体の各部分のサイズは異なっていることが普通だということです。
理想と平均
1万5千人の若い成人女性の体のサイズを参考にし,婦人科医のディッキソン博士が英ブラム氏に依頼した彫刻「ノーマ」
ディッキソン氏は婦人科学会のロダンとも評されるほどの芸術家でもあり、権威もある医師でしたが、大量のデータを集めて平均化すれば、典型的な体型を持つ、正常な女性について洞察が得られると考えました。
当時はこの彫刻が「理想の体型」という風潮になっていました。
そんな時に、美術館,医学アカデミー、教育委員会共催で典型的な女性「ノーマ」にもっとも近い女性を選ぶコンテストを行いました。
結果4000人近くの参加者のうち,対象となる部位9つが平均以内だった女性はやはりゼロ
5つに限定しても、平均に収まった女性は40人にも満たなかったのです。
ただこのコンテストの結果から当時の医師や科学者は平均が見当違いなのではなくアメリカの女性は不健康で体型が崩れているといった解釈をしました。
体を鍛えるという解決策しか思いつかなかったそうです。
環境調整、個性の重視により世界一に
ダニエルズ氏の発見により、空軍はすぐに方針を転換し(すぐに変えることができるのが素晴らしい)個人に合わせた設計、個性の重視も指導方針に変えました。
環境、設計上の問題が解決すると、アメリカ空軍は世界一と言われるほど飛行技術も進歩しました
まとめ
これは1900年代の話ですが、いまだに「平均」というものを気にして、平均(普通)にどれだけ近づいているか、どれだけ上回っているかで学校では評価され、就活でもスキルや職歴が平均と比べてどうか、絶対評価といいながらも、何かしらの平均的な社員を基準にしていたりします。
誰もが,平均と比べたり、標準化された評価におけるランクでは実際を反映できていないことを直感的には理解していながら,平均という概念は客観的に評価する手段の一つとして有効だと信じてしまいます。
平均は集団を比較する際には役に立つことがありますが、個人に対しては役に立たないどころか間違った判断をしてしい舞うということです。
平均的 普通の身体、才能、知性、性格は存在しないということです
もし、個人に対し平均では!なんて話が出たら、平均とは個人に対しては役に立たないと思うのですが、何を根拠に、なんのために平均を出したのでしょうか?意図を教えてくださいと確認しましょう。
個人に対し平均とかそういったことがそもそも持ち出されない世の中になると良いなと思いました。
コメント
[…] […]
[…] […]
[…] […]